光学デバイス

筑波大がインクジェットプリンターでディスプレイ開発?

筑波大がインクジェットプリンターでディスプレイ開発?

筑波大学の研究チームが、インクジェットプリンターを用いて作成できる液滴レーザーディスプレイの開発に成功しました。

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要点をチェック!

筑波大学の研究チームは、インクジェットプリンターで作成可能な液滴レーザーディスプレイを開発しました。有機色素を含むイオン液体の微小な液滴が光励起でレーザーを発し、電場で発光のオン・オフを制御できます。この技術により、高密度で高性能なレーザーディスプレイの実現が期待されます。

どんな技術?

筑波大学の研究チームが開発した液滴レーザーディスプレイ技術には、以下の3つの優れた点があります。

1. 高密度・高精度なピクセル配置

インクジェットプリンターを用いて、直径30マイクロメートルの微小な液滴を基板上に高精度で配置できます。これにより、40インチ8Kモニターと同等の解像度で、2センチ四方に液滴を敷き詰めることが可能となり、高密度なディスプレイの実現が期待されます。

2. 電場によるレーザー発光の制御

液滴に電場を印加することで、液滴の形状が球体から楕円体に変形し、それに伴いレーザー発光のオン・オフを切り替えることができます。この電気的なスイッチング機能により、各ピクセルの発光を精密に制御できるため、高品質な映像表示が可能となります。

3. 室温大気下での高い安定性

開発された液滴は、室温大気下で数カ月以上にわたり安定しており、機械的な振動が加わっても液体が漏れることはありません。この高い耐久性と安定性により、実用的なディスプレイデバイスとしての信頼性が向上します。

これらの特長により、次世代の高性能レーザーディスプレイの実現が期待されています。

活躍の場所はどこ?

筑波大学の研究チームが開発した液滴レーザーディスプレイ技術は、次の分野での活躍が期待されます。

次世代ディスプレイ技術

この技術は、液晶や有機ELを超える高輝度・高色再現性を持つディスプレイの実現に寄与します。特に、微小なレーザーピクセルを高密度に配置できるため、超高解像度のディスプレイ開発が可能となります。

柔軟な光デバイスの開発

液体を用いた柔軟なレーザー光源として、曲げたり折りたたんだりできるウェアラブルデバイスや、柔軟な表示装置への応用が考えられます。液滴の形状変化によるレーザー性能の調整も可能であり、多機能な光デバイスの開発に貢献します。

プリンタブルフォトニクス

インクジェットプリンターで微小な液滴レーザーを直接印刷する技術は、光通信やセンシングデバイスの製造プロセスを革新し、低コストで大量生産可能なフォトニクスデバイスの実現に繋がります。これにより、次世代の光技術分野での幅広い応用が期待されます。

これらの分野での応用により、液滴レーザーディスプレイ技術は多様な産業や研究領域での発展が見込まれます。

新しいディスプレイの姿としても今後に期待のできる研究でした。

参考:

https://www.tsukuba.ac.jp/journal/technology-materials/20241219140000.html

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