モチベーション

モチベーションの理由と行動の違い

モチベーションの理由と行動の違い、正当化

私たちは何かをやるとき、何かと理由をつけたくなります。しかし、その理由が実際の行動と異なることはよくありますよね?

それが将来につながる大切なことであればあるほど、そして、ネガティブであればあるほど抜け出せなくなるものです。

大なり小なりありますが、モチベーションの理由と行動を一致させて成長させるために必要なことを少し見てみましょう。

この記事はPodcastで音声配信もやっています。聞き流しをしたい人はぜひ聞いてみてください。

モチベーションの理由と行動の正当化について

モチベーションの理由って何?

モチベーションの理由というのは、簡単に言うと「どうしてその行動をしたのか?」という部分に関わるものです。たとえば、「仕事を頑張る理由は何?」と聞かれたとき、「もっとお金を稼ぎたいから」「評価されたいから」「社会に貢献したいから」など、具体的な理由が浮かびますよね。このような理由は、個人の信念や欲望から生まれていて、「何が自分を動かしているのか」を説明してくれるものです。

でも、この理由って、必ずしもその行動が正しいかどうかを示しているわけではないんですよね。人は、自分の欲求や状況に基づいて行動を選びますが、その選んだ行動が倫理的に正しいかどうかはまた別の話なんです。

行動の正当化とは何か

行動の正当化というのは、「その行動がどうして正しいのか?」を説明するものです。たとえば、道で財布を拾ったとします。このとき、「財布を交番に届ける」という行動を正当化する理由は、「持ち主に返すことが倫理的に正しい」という事実ですよね。一方で、「財布を自分のものにする」という行動を正当化する理由はほとんどないと言えるでしょう。

ここで重要なのは、正当化の理由は、個人の信念や欲望とは別に存在する「外部の事実」に基づいていることが多い、という点です。

モチベーションと正当化の違い

モチベーションの理由と正当化の理由を分けて考えると、以下のようになります。

  1. モチベーションの理由: 行動の心理的な原因。つまり、「なぜ自分はその行動を選んだのか?」という部分。
    • 例: 「この財布を届ければ感謝されるだろう」と思った。
  2. 正当化の理由: 行動が客観的に見て正しいかどうかを支える理由。
    • 例: 「持ち主に返すことが道徳的に正しい。」

つまり、自分が「なぜそうしたいのか」という内面の動機と、「それが本当に正しいのか」という外部的な根拠は、必ずしも一致しないことがあります。

なぜモチベーションと正当化がズレるのか

このズレの理由には、人間の心理や行動の複雑さがあります。私たちは、自分の欲望や信念に基づいて動くことが多いですが、それが社会的なルールや道徳に必ずしも合致しているとは限りません。

たとえば、疲れているときにバスの座席を譲らない理由は、「自分も座りたい」というモチベーションに基づくかもしれません。一方で、席を譲る理由を正当化する外部の事実としては、「年配の方がより座る必要がある」ということが挙げられます。このように、私たちの行動は常にモチベーションと正当化の両方を考慮して成り立っているわけではないのです。

私たちはどう行動すべきか

では、どうすればモチベーションと正当化のズレを減らすことができるのでしょうか?以下のようなアプローチが考えられます。

  1. 自分の動機を内省する
    行動する前に、「自分はなぜこれをしたいのか?」と自問する習慣をつけましょう。このプロセスを通じて、自分の動機とその行動の妥当性を整理することができます。

  2. 正当化の理由を意識する
    自分の行動が社会的に見て正しいかどうかを、具体的な事実や倫理的な基準に照らして考えることが重要です。

  3. モチベーションと正当化を一致させる努力をする
    行動の動機を正当化できる理由と一致させるようにすると、内面の葛藤が少なくなり、長期的に見て満足感の高い行動につながります。

モチベーションの理由と正当化の理由は、私たちの行動をより深く理解するための二つの重要な視点です。この二つを意識することで、自分自身の行動を振り返り、他者の行動を理解する手がかりになります。そして、行動の選択をより良いものにすることができるのです。

では、よりよい未来を作るうえで必要な、自分を客観的に見るということについてもう少し見てみましょう。

自分の動機を客観的に見る訓練

自分の動機を客観視する必要性

私たちは日々、さまざまな行動をとりますが、その理由や動機について深く考えることは意外と少ないものです。でも、動機を客観的に見る力をつけると、自分の選択や行動がどれだけ合理的で意義があるかをより正確に判断できるようになります。また、他人との関係でも、より理解のある行動が取れるようになるでしょう。

では、そのためにはどうすればよいのでしょうか?ここから、具体的な訓練方法についてお話しします。

1. 書き出す

まずは、自分の考えや動機を紙やデジタルツールに書き出してみることです。例えば、次のような質問に答えてみてください。

  • 「私はなぜこれをやりたいのか?」
  • 「この行動の背景にある自分の価値観や欲求は何か?」
  • 「他の選択肢はないだろうか?」

書き出すことで、頭の中にある漠然とした考えが具体化されます。そうすると、自分の動機が感情的なものであるのか、合理的なものなのかを冷静に判断できるようになります。

2. 他者の視点を想像する

次に、他者の視点から自分の動機を見る練習をしてみましょう。「もし他の人が私の行動を見たら、どう思うだろう?」と自問してみるのです。このとき、できれば自分の信頼できる友人や家族、尊敬する人物がどう感じるかを想像すると良いです。

このプロセスは、自分の行動を社会的・倫理的な視点で評価する手助けになります。また、感情に流されにくくなる効果もあります。

3. 自分の感情を切り離す

動機を客観視するためには、感情から一歩引いてみることも大切です。具体的には、次のような方法があります。

  • 深呼吸をする: 衝動的な感情に駆られて行動しそうなとき、一旦呼吸を整えるだけで冷静になれます。
  • タイムアウトを取る: 即決せず、一晩考えてみたり、少し時間を置いてから判断することで、感情の影響を減らせます。

感情そのものが悪いわけではありませんが、それに支配されていると、本当の自分の動機を見失いやすいのです。

4. モチベーションの「なぜ」を掘り下げる

「なぜこの行動をしたいのか?」を繰り返し自問することで、動機の深層を探ることができます。例えば次のような対話を自分自身と行うと良いでしょう。

  • 「なぜこの仕事を選びたいの?」
    →「もっと収入が欲しいから。」
    →「なぜ収入が欲しいの?」
    →「家族に安心してもらいたいから。」

このように深掘りを続けることで、本質的な動機が明らかになります。それによって、自分が本当に重要だと考えているものが見えてきます。

5. フィードバックを活用する

自分の動機を客観的に理解する上で、他者のフィードバックは非常に役立ちます。信頼できる人に、自分の行動や動機について意見を聞いてみましょう。

  • 「私がこう考えている理由についてどう思う?」
  • 「他にこういう行動を取る選択肢もあったと思う?」

第三者の視点は、自分では気づけなかった偏りや盲点を教えてくれることが多いです。

6. メタ認知を鍛える

メタ認知とは、自分の考えや感情を俯瞰する力のことです。これを鍛えるには、瞑想やマインドフルネスといった実践が効果的です。たとえば、毎日数分間、静かな場所で自分の思考や感情を観察する時間を作るだけでも、自己理解が深まります。

自分の動機を客観的に見る訓練には、時間と努力が必要です。しかし、このスキルを磨くことで、日常の意思決定や人間関係が大きく改善されます。まずは書き出すことから始め、他者の視点や感情を切り離して考える練習をしてみてください。これを続けることで、行動の背景にある自分の本当の動機に気づき、より充実した生活を送れるようになるはずです。

こういったことをしていくことであなたは自己認識が正しくできるようになってくるはずです。

しかし、罠が多いのも事実。もしあなたが知らず知らずのうちに別の理由で正当化してしまっていたら、どうすればいいかを考えてみましょう。

理由を正当化していると感じたらどうするべきか

正当化していると気づく瞬間

「自分の行動を正当化しているかもしれない」と感じたら、まずはその気づき自体をポジティブに受け止めてください。この気づきは、自分自身を客観的に見つめる力が働いている証拠です。ですが、その後どうすればいいのか迷うこともありますよね。ここから、その状況をどう整理し、どのように行動を選ぶべきかを深掘りしていきます。

1. 正当化と合理的な理由の違いを確認する

まずは、自分が正当化している理由が本当に「合理的な理由」なのかを確認しましょう。正当化とは、行動を自分や他人にとって納得できるものに見せかけるための「後付けの理由付け」であることが多いです。一方、合理的な理由は行動の前提として実際に影響を与えているものです。

以下のような問いを使って、自分の理由を振り返ってみましょう:

  • 「本当にこれが最初の動機だったのか?」
  • 「この理由を他の人に説明しても納得してもらえるだろうか?」
  • 「この理由は感情的な防衛のためではないか?」

2. 感情が影響していないかをチェックする

正当化が起こりやすいのは、感情が強く絡んでいる場合です。たとえば、「怒り」「恥」「不安」といった感情が原因で、行動を正当化してしまうことがあります。このようなときは、一歩引いて自分の感情を観察してみましょう。

  • 感情を書き出す: どんな感情が今自分の中にあるか、素直に書き出します。
  • 感情を認める: 感情自体を否定せず、「今、自分は不安を感じているんだな」とその存在を認めるだけでも冷静になれます。

3. 他の視点を取り入れる

正当化の理由が本当に妥当かどうかを判断するためには、他者の視点を借りることが有効です。信頼できる人に自分の考えを話し、意見を求めてみてください。

  • 「この理由って妥当だと思う?」
  • 「他にどう考える?」

他者からのフィードバックは、正当化のバイアスに気づくきっかけになります。また、第三者の視点を意識することで、自分の考えをより客観的に見る練習にもなります。

4. 根本的な動機を掘り下げる

正当化が生じる背景には、しばしば「本当の動機を隠したい」という気持ちがあるものです。そのため、自分の行動の背後にある根本的な動機を掘り下げてみましょう。

具体的には、以下の手順が役立ちます:

  1. 「なぜ?」を繰り返す
    例:「なぜこの行動をしたの?」→「○○を避けたかったから」→「なぜ避けたかったの?」と繰り返し問いを深める。
  2. 「もし本当の動機がこれだったらどう思う?」
    仮に「恥を隠すためだった」と気づいても、それを否定せず受け入れることが重要です。

5. 自分を許す

正当化していると気づいたとき、自己批判に陥ることもあります。「自分は正当化ばかりしている」と責めたくなるかもしれません。でも、それは誰にでも起こる自然なプロセスです。自分の行動を理解しようとする努力を大切にしましょう。

  • 「正当化に気づけたということは、自分を改善しようとしている証拠だ」
  • 「失敗を認めて反省することは、成長のチャンスだ」

自分を許すことで、次のステップに進みやすくなります。

6. 次にどう行動するか考える

最後に、今後どう行動するかを具体的に計画します。ここで重要なのは、「正当化をしないためにはどうすればいいか」を意識しつつ、建設的な選択をすることです。

  • 行動を修正する: もし、正当化に気づいたことで行動が適切ではなかったと分かった場合、素直に修正します。
  • 再評価を行う: 行動の目的やゴールが正当化されたものでないか、再度確認します。

正当化に気づくことは、自己成長の第一歩です。その後、感情を整理し、根本的な動機を掘り下げ、他者の視点を取り入れることで、自分の行動をより正確に理解できます。そして、自分を許し、次にどうすべきかを考えることで、より良い選択ができるようになります。正当化を恐れる必要はありません。それをきっかけに、自分を深く知る機会にしていきましょう。

まとめ

すべての本質が自分の中にあることが分かればよいのです。一緒に良い未来を創造しましょう。

参考:

この記事はこちらを参考にMirisが解釈しています。

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