チーム作り

チーム内の矛盾とパフォーマンスについて

チーム内の矛盾とパフォーマンスについて

チーム内の考え方などに矛盾があるとうまくいかないことが多いです。でも、なぜかぴったりとパズルのようにはまることもあります。それはなぜでしょうか?今回はそんなチーム内の矛盾がもたらす影響について考えてみようと思います。

この記事はPodcastで音声配信もやっています。聞き流しをしたい人はぜひ聞いてみてください。

チーム内の矛盾がチームパフォーマンスに与える影響

チーム内で矛盾や意見の不一致、いわゆる「コンフリクト」が生じることは珍しいことではありません。ですが、それがチームパフォーマンスにどう影響を与えるのかは、一概には言えない部分もあります。実は、矛盾の種類やチームの環境次第で、その影響がポジティブにもネガティブにもなるのです。

タスクコンフリクトと関係コンフリクト

チーム内の矛盾には大きく分けて2つのタイプがあります。

1. タスクコンフリクト

タスクコンフリクトとは、チームの目標や課題に関する意見の食い違いや議論を指します。たとえば、「このプロジェクトをどう進めるべきか」や「どの方法が最適か」といった具体的な議題に対する意見の相違がこれに当たります。

このタイプのコンフリクトは、適切に扱えばプラスに働くことがあります。なぜなら、異なる視点が出ることで、より創造的なアイデアや質の高い意思決定が生まれるからです。しかし、議論が行き過ぎて対人関係の摩擦に発展すると、かえってパフォーマンスを下げるリスクもあります。

2. 関係コンフリクト

関係コンフリクトは、個人的な不満や人間関係の問題に起因するものです。たとえば、「あの人の態度が気に入らない」とか「この人と話すといつも不快」といった感情的な対立がこれに該当します。

このタイプのコンフリクトは、ほぼ確実にネガティブな影響をもたらします。感情的な対立はチームの雰囲気を悪化させ、メンバー同士の協力や信頼を損ねてしまうからです。

心理的安全性の重要性

チーム内の矛盾がプラスに働くかマイナスに働くかを左右する大きな要因が、「心理的安全性」です。心理的安全性とは、チームの中で自分の意見を自由に言える安心感や、ミスをしても責められないという信頼感を指します。

心理的安全性が高いチームでは、タスクコンフリクトが活発な議論や建設的な対話に繋がりやすくなります。メンバーは互いのアイデアを尊重しつつ批判的に検討できるため、創造性や問題解決能力が向上します。一方で、心理的安全性が低いチームでは、同じタスクコンフリクトがすぐに関係コンフリクトに変わり、パフォーマンスを下げてしまうことがあります。

チームパフォーマンスへの影響

チーム内の矛盾がもたらす影響を整理すると、次のようになります。

  • ポジティブな影響
    • 多様な視点が生まれることで、質の高い意思決定や創造性が促進されます。
    • 問題点が議論の中で明確化され、解決策が見つかりやすくなります。
    • チームメンバー全員の関与が深まり、やりがいが向上します。
  • ネガティブな影響
    • 感情的な対立に発展すると、チームの雰囲気が悪化します。
    • メンバー間の信頼が損なわれ、協力が難しくなります。
    • 生産性が低下し、意思決定の質も下がる可能性があります。

リーダーの役割と対策

リーダーには、チーム内の矛盾を健全に管理する重要な役割があります。特に、次のような取り組みが効果的です。

  1. 心理的安全性を育む
    メンバーが安心して意見を言える環境を整えることが大切です。リーダー自身がオープンな姿勢を示し、ミスや意見の違いを歓迎する態度を取ることがポイントです。
  2. 早期の介入
    矛盾が感情的な対立に発展しそうな場合は、早めに介入して対話を促すことが必要です。
  3. チームビルディングの強化
    チームメンバー同士の信頼関係を築くために、チームビルディングの機会を設けると良いです。これにより、関係コンフリクトの発生を抑えられます。

チーム内の矛盾は、取り扱い方次第で「諸刃の剣」となります。心理的安全性が整った環境では、矛盾は創造性やパフォーマンス向上のカギとなりますが、そうでない場合には、チーム全体を停滞させる原因となり得ます。リーダーや組織は、矛盾をポジティブに変える環境づくりに注力する必要があります。

矛盾が生じていてもポジティブな影響を与えるものとそうではないものがあります。まずは、ポジティブな影響について考えてみましょう。

ポジティブな影響を与える矛盾とは、「建設的な矛盾」や「タスクコンフリクト」と呼ばれるものが該当します。このような矛盾は、仕事や課題に関する意見の食い違いや議論を指し、以下のような特徴を持っています。

ポジティブな影響を与える矛盾の特徴

1. 課題や目標に関する具体的な意見の違い

タスクコンフリクトは、チームが目標を達成するために「どの方法が最適か」や「この方針で進めて良いか」といった課題に関して、メンバーが異なる視点を持つことから生まれます。これにより、課題の深い理解や新たな視点の発見が可能になります。

例:

  • Aさんが「既存の方法で進めよう」と提案した一方で、Bさんが「新しいツールを試した方が効率的だ」と反論する。

2. チーム全体での議論や討論の活性化

意見が異なることで活発な議論が促され、全員が課題に対してより深く関与します。このプロセスを通じて、チームの中に多様性が生まれ、アイデアがより洗練されていきます。

例:

  • チームメンバーがそれぞれのアイデアを持ち寄り、それぞれの利点やリスクを具体的に比較検討する。

3. 新しいアイデアや革新的な解決策の創出

矛盾が単なる対立で終わらず、建設的に解消されると、革新的なアイデアや問題解決方法が生まれる可能性があります。このような矛盾は「ポジティブな摩擦」とも言われ、特に創造性や意思決定の場面で大きな成果をもたらします。

例:

  • 現状に満足せず、あえてリスクのある方法を検討する中で、これまでにない斬新な解決策を導き出す。

4. チームの意思決定の質の向上

異なる意見が出ることで、課題のあらゆる側面を検討する機会が得られます。これにより、盲点を減らし、チーム全体の意思決定がより論理的かつ実現可能なものになります。

例:

  • 一見正しいように思えた提案について、反対意見を受け入れて再考し、より効果的な解決策を導く。

ポジティブな矛盾を引き出すための条件

ポジティブな矛盾は自然に生じるわけではなく、以下の条件が整っていることが重要です。

1. 心理的安全性の確保

メンバーが自由に意見を述べられる環境が必要です。「意見を言ったら否定されるかも」と思わせないことが重要で、リーダーの役割が大きく関わります。

2. 個人攻撃の排除

矛盾を議論する際、個人の性格や能力ではなく、課題そのものに焦点を当てることが大切です。これにより、感情的な対立を防ぐことができます。

3. 明確な目的と目標の設定

矛盾が建設的に進むためには、チームの共通目標が明確であることが重要です。目標がはっきりしていれば、意見の違いも「目標達成のため」という建設的な方向に向かいます。

具体例

  • プロジェクトの進め方についてメンバー間で意見が分かれたが、それぞれの案を検討した結果、新しいツールの導入が決定し、作業効率が大幅に向上した。
  • 商品開発において、チームが「コスト削減」を重視するメンバーと「高付加価値化」を重視するメンバーに分かれたが、双方の意見を取り入れた結果、コストパフォーマンスの良い新製品が生まれた。

ポジティブな影響を与える矛盾とは、課題に関する建設的な意見の食い違いを指します。これは、チームの心理的安全性が確保されている環境で起こるときに特に効果を発揮します。矛盾を恐れず、それをチーム全体の成長や成果に繋げる視点が、チームの成功において不可欠です。

逆にネガティブな影響についても見てみましょう。

ネガティブな影響を与える矛盾とは、チームの関係性や雰囲気に悪影響を及ぼし、パフォーマンスを低下させる原因となるものです。このような矛盾は主に「関係コンフリクト」や「感情的対立」として現れます。以下にその特徴を詳しく説明します。

ネガティブな影響を与える矛盾の特徴

1. 個人的な対立や感情的な不和

個々のメンバーの性格の違いや行動、過去の出来事に基づく感情的な摩擦が関係コンフリクトの主な原因です。このような矛盾は課題や目標に関する意見の違いではなく、チームメンバー間の人間関係に焦点が当たるため、建設的な結果を生み出すことが難しくなります。

例:

  • 「あの人の態度が嫌だ」といった個人への不満。
  • 「自分の意見を無視された」という感情的な傷つき。

2. 議論の焦点が課題から外れる

感情的な対立により、矛盾の原因がタスクではなく、相手の人格や行動に向けられるようになると、建設的な議論が難しくなります。これにより、課題解決の進行が妨げられ、チームの雰囲気が悪化します。

例:

  • 「どうしてこんなに自己中心的なんだ!」と、課題ではなく個人を批判する発言が出る。

3. 信頼の喪失

関係コンフリクトが頻発すると、チームメンバー間の信頼関係が損なわれます。その結果、メンバー同士が意見を出し合うことに消極的になり、コミュニケーションの質が低下します。

例:

  • 「どうせあの人は私の意見を否定するから、話さない方がいい」と思うようになる。

4. 心理的安全性の欠如

関係コンフリクトが続くと、心理的安全性が失われます。メンバーはミスや意見表明を恐れ、自己保身に走るため、チーム全体の協力が得られなくなります。

例:

  • 「間違ったことを言ったら攻撃されるかも」と考え、意見を控える。

5. 生産性の低下

ネガティブな矛盾は、会議や議論が感情的なやり取りに費やされる時間を増やし、チームの効率を著しく低下させます。また、メンバーはストレスを抱え、モチベーションを失うことがあります。

例:

  • 会議中に感情的な対立が長引き、意思決定が進まない。
  • 矛盾のストレスで、メンバーがやる気を失い、生産性が低下する。

ネガティブな矛盾が生まれる要因

  1. 曖昧な役割分担
    誰が何をするのかが不明確な場合、責任の所在を巡る対立が発生しやすくなります。
  2. リーダーシップの欠如
    リーダーが矛盾を適切に管理せず、放置したり偏った対応を取ることで、対立が悪化することがあります。
  3. チーム内のコミュニケーション不足
    適切な意見交換や情報共有が行われないと、誤解や不信感が生じやすくなります。
  4. 組織文化の問題
    競争的な文化や、ミスを許さない風潮がある場合、感情的な対立が起こりやすくなります。

ネガティブな矛盾が与えるチームへの影響

1. チームパフォーマンスの低下

関係コンフリクトが続くと、チーム全体の生産性が下がり、目標達成が難しくなります。

2. メンバーの離脱

感情的な対立が深刻化すると、一部のメンバーがチーム活動に消極的になったり、最悪の場合チームを離れることもあります。

3. イノベーションの停滞

関係コンフリクトが激化すると、意見の共有や創造的な提案が抑えられ、チームの成長やイノベーションが阻害されます。

ネガティブな矛盾を防ぐ方法

1. 心理的安全性の構築

メンバーが安心して意見を言える環境を作ることで、関係コンフリクトを未然に防ぐことができます。

2. リーダーの介入

対立が発生した際には、早い段階でリーダーが公平かつ中立な立場で介入し、解決に向けた場を設けることが大切です。

3. 定期的なコミュニケーションの機会を設ける

チームの状態を定期的にチェックし、誤解や不信感を解消するためのコミュニケーションの場を作ることが有効です。

4. チームビルディングの強化

メンバー間の信頼関係を築く活動やトレーニングを通じて、感情的な対立を未然に防ぐことができます。

ネガティブな矛盾は、感情的な対立や個人的な不和に基づくものであり、チームパフォーマンスに深刻な悪影響を及ぼします。このような矛盾を防ぐためには、心理的安全性を高め、リーダーが適切に管理し、チームメンバーが建設的にコミュニケーションを取れる環境を整えることが重要です。矛盾そのものをなくすことは難しいですが、ネガティブな影響を最小限に抑える工夫をすることで、チームの健全な成長が可能になります。

なんかこのチームいやだな。そう思う場所は実際上記のいずれかに当てはまることが多いです。そうならないようなマネージメントが必要ですね。

まとめ

チーム内に矛盾は少ないほうが良いですが、多様性の尊重や創造性をの獲得のためにポジティブな影響を残すことはとてもいいです。逆にネガティブな影響が大きいとチームのパフォーマンスが下がってしまうので注意が必要です。

参考:この記事はこちらを参考にMirisが解釈しています。

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